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今日のテーマは「『和紙(Washi)』と『PET素材』のマスキングテープの素材別保存法」についてです。
マスキングテープ、略してマステは、今や世界中で愛される装飾テープです。しかし、あなたが集めているそのテープは、本当にすべて「和紙」でできている「Washi Tape」でしょうか?
近年、海外では耐久性の高い「PET素材(プラスチック)」の装飾テープが増え、これらもまとめて「マステ」として流通しています。
マスキングテープのコレクターにとって、「新品のままの姿」を守ることは最大の願いです。しかし、その保存法は、あなたが集めているテープの「素材」によって全く異なります。
世界中で「Washi Tape」の名で愛される「その繊細な性質」と、「新素材の性質」、どちらも知らなければ大切なコレクションを守ることはできません。
あなたのコレクションを守るためには、素材の違いが引き起こす劣化リスクの「優先順位」を知ることが必須です。
この記事では、前回の記事で解説した糊の劣化メカニズムを踏まえ、「和紙」と「PET」という素材(基材)の違いが、テープの「寿命」と「保存方法」にどう影響するのかを徹底比較します。あなたのコレクションを守るため、素材に合わせた正しい保存術を知りましょう。
※この記事では、マステを「『Washi』と『PET』の二種類」に分けた場合の「素材別の最適解」を解説します(応用編)。
※↓(前提知識の参照)「糊のベタつきや変色の原理」については、関連記事(基礎編)で解説済みです。本記事では、その原理を踏まえた「素材別」の最適な防護ルールに焦点を当てます。

※なお、「マスキングテープに字が書けるペン」については、↓こちらのページで書いています。

1.WashiとPET:保存における「リスク」の根本的な違い

海外では、日本のマステは「Washi Tape」という名前で知られています。本来、「Washi Tape」とは日本の「和紙」を基材としたテープを指しました。
しかし現在、マステ市場は主に以下の「二種類」の素材に二分されています。
テープの素材(基材・本体)の違いが、コレクションを守る際の「最大の敵」を決定づけます。
| 項目 | 和紙テープ (Washi Tape) | PETテープ |
| 主な基材 | 和紙(天然セルロース繊維) | ポリエチレンテレフタレート(合成高分子/プラスチック) |
| 化学的性質 | 吸湿性・通気性あり | 非通気性・耐水性あり |
| 収集・使用メリット | 再剥離性に優れる、繊細な透け感、手でちぎれる。 | 高い強度、水に強い、柄の透明度と光沢感が美しい。 |
| 保存時の最大の敵 | 湿度とカビ、糊の自己癒着、紙の黄変 | 熱と糊の流動(ブリードアウト)、素材の硬化 |
| 防護の優先順位 | 湿度管理、圧力の排除(通気性) | 低温管理、汚染防止(個別隔離) |
2.素材別!劣化を回避する「二層の防護対策」

和紙とPET、それぞれの最大の敵を倒すための「具体的な対策」を比較します。
(1)環境管理(化学的劣化の防護)
| 要素 | 和紙テープ (Washi) の最適解 | PETテープの最適解 | なぜその対策が必須か? |
| 湿度管理 | 40%∼55%(乾燥剤必須) | 50%∼60\%(安定性重視) | 和紙は吸湿性が高いためカビが脅威。PETは水に強いが、過乾燥も硬化を招く。 |
| 温度管理 | 18°C~22°C(安定した温度を維持) | 10°C~18°C(厳格な低温を維持) | PETは熱がこもりやすく、糊が側面に流れ出す現象(ブリードアウト)を防ぐため、低温管理がより厳格に求められる。 |
(2)物理的・構造的防護(形状維持と固着防止)
| 対策 | 和紙テープ (Washi) の実践方法 | PETテープの実践方法 | 目的 |
| 収納構造 | 通気性を確保し、カビの発生を防ぐため、ロールの間隔を空ける。 | ロールを個別ケースに入れ、糊が他のテープや収納ケースを汚染するのを防ぐ。 | 糊の流動リスクがPETの方が高いため、汚染防止を優先する。 |
| 摩擦の回避 | 紙繊維の損傷を避けるため、硬い素材との接触を避ける。 | 表面の光沢や箔の剥がれを防ぐため、擦れを完全に避ける。 | 新品のままの姿を維持する。 |
3.コレクションを守るための判断基準と実践ヒント

コレクションの原型を保つための「判断基準」と、日々の具体的な「実践ヒント」をまとめて紹介します。
前回の記事でも書いた部分がありますが、ここでは、前回の記事を参照しなくても「最終的に何をすれば良いか」という具体的な行動指針をまとめておきます。
(1)コレクションの原型を保つための判断基準
「和紙 vs. PET」のマスキングテープのどちらが多いかで、「低温 vs. 除湿」のどちらを優先すべきが判断しましょう。
- 和紙が多ければ: 「除湿と通気性」を最優先し、シリカゲルを活用した収納環境を作りましょう。
- PETが多ければ: 「低温と隔離」を最優先し、個別ケースでの保管や、エアコンによる温度管理を徹底しましょう。
(2)実践的なヒント
次に、前回の記事でも触れましたが、どちらの素材にも「共通する」実践的な保存法について書いておきます。
①光の遮断: 光による変色は共通のリスクです。UVカット収納を活用し、光を遮断しましょう。(※最重要の共通リスク)
②収納場所の決定: 窓のそば、水回り、ストーブの近くなど、温度・湿度の変化が大きい場所は絶対に避け、環境が安定した押し入れの上段などを活用します。
③ロールの美しさを守る仕切り: 個別ケースや、硬質プラスチックの仕切りを利用し、ロール同士の接触を防ぎます。これが新品のままの姿を保つための物理的な防御となります。
④最終手段の検討: もし糊のベタつきや固着が始まってしまったら、「これ以上劣化させない」ための最終手段として、早めにリフィル(見本帳)に貼り替えることを検討しましょう。
※↓評判の良い「ブックタイプ」のマスキングテープケースです。
4.マステの素材別保管法のまとめ

マスキングテープ(マステ)のコレクションを守る鍵は、「すべてのテープが同じではない」という事実を知ることです。
和紙テープ(Washi Tape)の繊細な美しさは、湿度とカビという最大の敵から守るため、除湿と通気性の確保が不可欠です。
PETテープの耐久性は、熱と糊の流動(ブリードアウト)というリスクを伴うため、厳格な低温管理と個別隔離が求められます。
コレクションの原型と価値を長く保つためには、愛情だけでなく、「科学的な知識」に基づき、あなたのコレクションの素材の構成比に合わせて適切な保存環境を整えることが最も重要です。
ぜひ、この記事で学んだ知識を活かして、あなたの貴重なマステコレクションをできるだけ長く良い状態(新品のままの姿)で守り続けてくださいね。
以上、「【マステ劣化対策】素材別保存法!『和紙(Washi)』と『PET』を徹底比較」についてでした。
「Stationery♥Log」(ステーショナリー♡ログ)をご覧いただきありがとうございました♡
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