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【価格の謎】ファーバーカステル9000番鉛筆はなぜ高い? 製造コストと100年哲学

筆記用具

 

「Stationery♥Log」(ステーショナリー♡ログ)にお越しいただきありがとうございます。

 

今日のテーマは「ファーバーカステル9000番鉛筆の価格」についてです。

 

ファーバーカステル9000番鉛筆の価格について考えるとき、「ファーバーカステル9000番鉛筆はなぜ価格が高いのか?」と考えるのは、誰もが抱く疑問ではないでしょうか。

文房具好きなら誰もが知る、緑色の六角軸

 

それが、1905年に誕生した鉛筆の古典的名作「ファーバーカステル9000番」です。

 

世界中のプロのアーティストやデザイナーに愛用され、「鉛筆の世界基準」を確立したこの名品ですが、一方で、日本の一般的な鉛筆と比較して高価であることも事実です。

 

なぜ、この鉛筆はこれほどの価格で販売されているのでしょうか?

 

今回の記事では、「高い」という表面的な価格ではなく、その裏側に隠された100年を超える「製造コスト」と、ファーバーカステル社が守り抜く「企業哲学」という二つの柱から、9000番鉛筆の真の価値に迫ります。

 

 

 

1. 製造コストの核:折れないSV製法の「手間賃」

 

9000番の価格構造を理解する上で、避けて通れないのが「SV(全面接着)製法」です。

 

多くのブログでは「折れにくい技術」として紹介されますが、このページではこの技術を「鉛筆の製造工程を複雑化する手間賃」というコストの観点から掘り下げます。

 

※なお、↓本ブログでも「SV製法」の「折れにくい技術」について書いています。

【世界の定番色鉛筆】ファーバーカステル クラシックカラーの信頼性を生むSV製法と活用術
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(1)SV製法は「技術」だけではなく、「手間賃」もかかる

 

一般的な鉛筆の製法は、芯を木軸に彫られた溝に挟み込む、比較的シンプルな構造です。

 

しかし、「SV製法」は、芯と木軸を文字通り全長にわたって強力な特殊接着剤で完全に一体化させます。

 

この「一体化」を完璧に行うには、以下のコストが上乗せされます。

 

①専用設備の導入:

 

均一に接着剤を塗布し、熱や圧力を用いて芯と木軸を密着させるための専用の機械設備が必要です。

 

②工程の増加と時間:

 

接着剤が完全に硬化するまでの乾燥時間が必要です。

 

一般的な鉛筆よりも工程が増え、製造に時間がかかることは、そのまま生産効率の低下=製造コストの増加に直結します。

 

これらコストは、単に折れにくくするためではなく、プロフェッショナルな要求に応える「最高品質の安定性」を保証するための、譲れないコストなのです。

 

(2)木材の質を活かすSV製法の相乗効果

 

9000番は、芯の保護に適した高品質な木材(昔は黒檀やベンナンブゴ、現在は管理された木材)を使用しています。

 

天然素材である木材は、湿度や温度の変化によってわずかに伸縮します。

 

SV製法による強力な全面接着は、この木材のわずかな動きに対しても芯を完全に保護し、購入時から使い切るまで一貫した安定した品質を保ちます。

 

この確かな安定性こそが、プロが何十年も愛用し続ける理由であり、高価であることの根拠となります。

 

2. 100年の信頼を守る「企業哲学」とコスト

 

9000番が高い理由のもう一つの柱は、「ブランドが守り抜く哲学」であり、これは未来への投資コストと直結しています。

 

(1)環境哲学が払う「サステナブル・コスト」

 

9000番の特徴的な「緑色」の六角軸。

 

この色には、ファーバーカステルの企業哲学が詰まっています。

 

水性塗料の使用:

 

軸の塗装には、環境に配慮した水性塗料が使用されています。

 

これは通常のラッカー塗料よりもコストが高くなりますが、人にも環境にも優しいものづくりを貫いています。

 

持続可能な森林管理:

 

軸材の木材は、持続可能な森林管理によって調達されています。

 

これは、鉛筆の価格に「未来の環境を守るためのコスト」が上乗せされていることを意味します。

 

(2)硬度基準の確立という「歴史的権威」

 

1905年に「9000番」が発表された際、この鉛筆が現代の鉛筆の「長さ」、「六角形の形状」、そして「硬度」の基準を確立しました。

 

この「世界基準」を作り、そして100年以上にわたってその品質と基準を維持し続けること自体が、膨大な研究開発と管理のコストとなります。

 

9000番の価格は、鉛筆の歴史そのものへの敬意であり、「歴史」という目に見えない価値を手にすることへの対価なのです。

 

 

 

3. 9000番の硬度:日本のユーザーが知るべき選び方

 

最後に、9000番を手に取る日本のユーザーに向けて、価格に見合う価値を最大限に引き出すための硬度選びのヒントをお伝えします。

 

一般的に、ファーバーカステルの硬度は、日本の鉛筆の同硬度表示よりも「やや硬め(薄め)」に感じられる傾向があります。

 

硬度 用途 書き味の特徴
HB / F 製図、グラフ作成、細かい書き込み 芯が長持ちし、線が擦れにくい。シャープで知的な印象の線。
B / 2B 一般筆記、メモ、アイデア出し 滑らかさと濃さのバランスが最も良い。日常使いで「9000番らしさ」を最も感じられる硬度。
濃いB群 (4B~8B) スケッチ、デッサン、シェーディング 紙面へのノリが非常に良く、ムラのない濃い黒を表現可能。

 

特に一般筆記には、「B」または「2B」を選ぶことで、日本の鉛筆に近い濃さと、9000番特有の確かな筆記感をバランス良く楽しむことができます。

 

4. まとめ:「技術」「環境」「歴史」への対価

 

ファーバーカステル9000番鉛筆の価格は、決して「高い」のではありません。

 

それは、以下の価値をすべて含んだ「適正な対価」なのです。

 

  1. SV製法による折れない安心感と安定した品質
  2. 最高級木材と環境への配慮という企業の哲学
  3. 100年にわたる鉛筆の世界基準を作り続けた歴史的権威

 

この鉛筆を手にすることは、単に筆記具を買うのではなく、100年の「技術」と「環境」、そして「歴史」という目に見えない価値を手に入れることです。

 

ぜひ、その価値の重みと書き心地を体験してみてください。

 

以上、「【価格の謎】ファーバーカステル9000番鉛筆はなぜ高い? 製造コストと100年哲学」についてでした。

 

「Stationery♥Log」(ステーショナリー♡ログ)をご覧いただきありがとうございました♡

 

 

 

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