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【知ればもっと面白い】クレヨラで楽しむ「色の科学実験」ワックスの現象と応用術

筆記用具

 

「Stationery♥Log」(ステーショナリー♡ログ)にお越しいただきありがとうございます。

 

今日のテーマは「クレヨンのワックスの現象と応用術」についてです。

 

今回は、クレヨラクレヨンを単なる「描画ツール」としてではなく、「身近な化学実験の素材」として捉え直します。

 

第3回で触れたように、クレヨラは顔料を「ワックス(蝋)と油分」で固めた画材です。この「ワックス(蝋)と油分」の特性が、クーピー(樹脂)との最大の違いでしたね。

 

このワックス成分が、紙の上でどのような物理的・光学的現象を引き起こすのか、そのロジック(仕組み)を知れば(クレヨラ)クレヨンがもっと面白くなるでしょう。

 

絵画の知識は一切不要です。クレヨンを使うことで生まれる、ワックスの現象とその応用術をご紹介します。

 

※↓「クレヨラ」クレヨンの基本の「24色セット」です。

 

※↓「クレヨラ」クレヨンのかわいいパステルカラーの「24色セット」です。

 

1.ワックスが起こす3つの基本現象(ロジック解説)

 

クレヨラのような「ワックス成分」を主とするクレヨンを強く塗る、重ねる、熱を加えるといったシンプルな動作だけで、ワックスは興味深い現象を起こします。

 

現象(1):オイル・イン・オイルの混色(溶解現象)

 

クレヨラのような「ワックス成分」を主とするクレヨンを重ね塗りすると、色が混ざり合って中間色になる現象です。これは、水性絵具の混色とは異なる、「ワックスならでは」の現象です。

 

①溶解現象のロジック

 

クレヨラの芯は、顔料が「ワックス(油分)」で固められています。後から強い筆圧で別の色を塗ると、新しいワックス層が下のワックス層の表面をわずかに溶解させ、顔料同士がその場で混ざり合います。

 

②溶解現象の応用術

 

このワックスによる顔料の「現場混色」を利用することで、(クレヨラ)クレヨンだけで「色相環」を作ることができます。

 

筆で混ぜた色とは異なる、粒子感と深みのある中間色を、クレヨラだけで簡単に作り出すことが可能です。

 

例えば、青と黄色を重ねて緑を作る際、均一に混ざるのではなく、青の粒と黄色の粒が混在した深みのある緑色が生まれます。粒子の残る複雑な緑色を作り出せるのです。

 

現象(2):水をはじくバリア現象(撥水効果)

 

水と油は反発するという原則が、紙の上で明確に現れる現象です。

 

①撥水効果のロジック

 

ワックスは油性成分であり、紙の繊維の隙間に深く染み込み、水を完全に遮断するバリア層を作ります。

 

②撥水効果の応用術(バチック技法)

 

クレヨラのような「ワックス成分」を主とするクレヨンで描いた上から水彩絵具を塗ると、クレヨン部分だけが水をはじき、色が乗らずに浮き上がります。

 

これを利用して、「水滴」や「雪の粒」のように白い部分を残したい表現、またはメッセージを隠すといった、絵画技法のひとつである「バチック(ろうけつ染めが原理)」というテクニックを誰でも簡単に再現できます。

 

現象(3):光沢の誕生(シーリング効果)

 

クレヨラのような「ワックス成分」を主とするクレヨンを強く塗った部分だけが、反射してツヤツヤと光る現象です。

 

①シーリング効果のロジック

 

強い筆圧で塗ると、ワックス層が密に圧縮され、紙の表面の凹凸(おうとつ)が消えて平滑な鏡面が生まれます。この平滑な表面が光を一方向に反射するため、ワックスの層が「コーティング(シーリング)」されたかのように光沢を放ちます。

 

②シーリング効果の応用術

 

仕上げたい部分を白色で強く重ね塗りすることで、紙の地の色が透けながら光沢が増し、作品に「水濡れ感」「光の粒」といったツヤと奥行きを与えることができます。

 

※↓「クレヨラ」クレヨンの「64色セット」です。

 

※↓日本で一般的に販売されているセットの中では「120色セット」が一番色が多そうです。

 

2.知的好奇心を刺激する応用実験(複合現象の活用)

 

ここからは、クレヨンの特性を他の画材や道具と組み合わせて生まれる、より複雑で面白い現象を紹介します。

 

応用実験(1):ワックス・グラデーション(熱現象の活用)

 

①現象(ワックス・グラデーション)

 

クレヨンを塗った紙の裏側から、ドライヤーの温風を軽く当てると、ワックスが溶けて透明化し、色が紙の繊維に深く染み込みます。

 

②ワックス・グラデーションのロジック

 

ワックスは融点が低いため、熱で液体化し、紙の上で顔料を移動させます。液体化したワックスは光の乱反射を減らすため、塗った色が濃く、透明度を増したような色合いに変化します。

 

③ワックス・グラデーションの応用術

 

この現象を利用して、紙全体を溶かして均一なグラデーションを作ったり、逆に溶かしたワックスの光沢で、絵に奥行きやレジン(樹脂)のようなツヤを出すことができます。

 

応用実験(2):スクラッチ・アートの原理(積層現象)

 

①現象(積層現象)

 

クレヨンを何層にも厚く塗り重ねた部分を、爪楊枝や竹串などで引っ掻くと、上の層だけが削り取られ、下の層の色が現れる現象。

 

②積層現象のロジック

 

クレヨンのワックス層は乾くことがないため、紙の上でワックスの層が「積層」し、紙の上で硬い粘土のような状態を作ります。上の層だけを削り取ると、下の色の層が顔を出します。 この物理的な層構造を利用し、鋭利な道具で削るだけで、簡単に色彩豊かな線を描くことができます。

 

③積層現象の応用術

 

クレヨンを何層にも重ねてから、黒などの暗い色で全面を覆い、尖った道具で引っ掻くだけ(削るだけ)で、誰でも簡単に本格的な「スクラッチ・アート(削って描く技法)」が楽しめます。

 

※↓「クレヨラ」クレヨンの基本の「24色セット」です。

 

※↓「クレヨラ」クレヨンのかわいいパステルカラーの「24色セット」です。

 

3.まとめ:クレヨラは「発見」の素材

 

クレヨラクレヨンは、単なる子供の画材ではなく、「ワックス(蝋)」という非常に興味深い素材の特性が詰まった、身近な科学実験ツールです。

 

「ワックス(蝋)」の特性を知ることで、単なる画材から「発見と驚きに満ちた素材」へと変わります。

 

今回ご紹介した現象は、どれも絵画の知識がなくても、クレヨンと紙があればすぐに試せるシンプルなものばかりです。

 

なぜ光るのか? → ワックスのシーリング効果

なぜ水で弾くのか? → ワックスのバリア現象

なぜ熱で色が濃くなるのか? → ワックスの溶解現象

 

これらのロジックを知れば、クレヨンを使うことがより「知的で面白い遊び」へと変わります。ぜひ、クレヨラを手にとって、あなただけの色の科学実験を楽しんでみてください。

 

連載を通じて、クレヨラという身近な画材の奥深さと、その無限の可能性をお伝えしてきました。ぜひ、クレヨラを手にとって、あなただけの「色の科学実験」を楽しんでみてください。

 

※補足情報:日本の画材での再現性

本記事で紹介した「溶解混色」、「撥水効果」、「熱溶解」などの現象は、クレヨラと同様に「ワックス(蝋)と油分」を主成分とする画材で再現できます。

 

〇再現性が高い画材の例: 「サクラクレパス」、「ぺんてるパステル」などの「オイルパステル(油性クレヨン)」系の画材。

 

×再現が難しい画材の例: 「クーピーペンシル(樹脂主成分)」など、ワックス成分が少ない画材。

 

お手持ちの画材で、ぜひ「ワックスの科学実験」をお試しください。

 

以上、「【知ればもっと面白い】クレヨラで楽しむ『色の科学実験』ワックスの現象と応用術」についてでした。

 

「Stationery♥Log」(ステーショナリー♡ログ)をご覧いただきありがとうございました♡

 

※↓サクラクレパスの「クレパス」です。

 

※↓ぺんてるの「パステル」です。

 

※「クレヨラ」については全4記事書いています。本記事は「4記事目」です。

順序 記事のタイトル 記事の役割 記事と思考の対応
1 【歴史と裏側】世界一の定番「クレヨラ」クレヨンが100年愛される秘密 導入・ブランドの魅力 Why? (なぜクレヨラは世界一なのか?)
2 【色名に隠された哲学】クレヨラ152色の世界!伝説の「肌色」を変えたトリビア 知識・文化的な深掘り What’s the philosophy? (色名や歴史に隠された哲学は?)
3 【大人目線】クレヨラ vs クーピーペンシル!最適な「アナログ画材」の選び方 実用・比較検討と選定 Which one? (結局、大人にはどれがベストなのか?)
4 【知ればもっと面白い】クレヨラで楽しむ「色の科学実験」ワックスの現象と応用術 応用・科学的なロジック How does it work? (なぜ水が弾かれる?仕組みは?)

 

※↓「クレヨラの1記事目」です。

【歴史と裏側】世界一の定番「クレヨラ」クレヨンが100年愛される秘密
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※↓「クレヨラの2記事目」です。

【色名に隠された哲学】クレヨラ152色の世界!伝説の「肌色」を変えたトリビア
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※↓「クレヨラの3記事目」です。

【大人目線】クレヨラ vs クーピーペンシル!最適な「アナログ画材」の選び方
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